悲しい雰囲気が出るコードは、マイナーコードだけではないです。

こんにちは!トランペット、サックスを使った「ファンキー」な音。新しい時代を自分らしく楽しく生きるための「癒し」の歌詞。

でもって、「ファンキー癒し音楽」のルーク野村。

一般的に、悲しい曲はマイナー(短調)、明るい曲はメジャー(長調)、というように言われています。確かに、マイナーの曲で悲しく聞こえる曲はある。たとえば、野口雨情 作詞の「赤い靴」は、悲しく聞こえます。

メジャーコードは明るく、マイナーコードは暗い、という感覚を多くのひとが思い込んでいます。でも、マイナーだから物悲しく、メジャーだと明るいかというと、必ずしもそうではありません。

メジャー(長調)の曲でメジャーコードだけで、物悲しさを出すことができるコード進行があります。

ということで、メジャーの曲のメジャーコード進行で、もの悲しく聴こえるコード進行を紹介します。

■ もの悲しいメジャーコードの進行

メジャー/長調の曲において、メジャーコード進行でもの悲しさを出す進行は、以下の進行です。

|  I  |  Ⅲ7  |

Cメジャーの曲で具体的にコード進行を書くと、以下となります。

|  C  |  E7  |

この進行は、いい感じでもの悲しく聴こえます。Cメジャーの曲で、メジャーのコードしか使っていないのに。

■ 具体的な例

具体的な曲の例を、挙げておきます。

少し昔の曲ですが、私が好きなアリスの「今はもう誰も」という曲は、このコード進行を使っています。この曲のAメロ8小節は、以下のコード進行です。

|| C | C | E7 | E7 |

| Dm7 | G7 | C | C ||

I→Ⅲ7が、使われています。

I→Ⅲ7の後は、Cのツーファイになっています。オーソドックスですが、素敵なコード進行です。歌詞にもメロディーラインにも、ビタッと合っています。ちなみに、ツーファイという言葉が分からないようでしたら、私のこの記事を読んでくれると、ツーファイの説明が書いてあります。

■ 洋楽での例

このコード進行は、邦楽やJ-Pop独特ではありません。洋楽でも使われています。

たとえば、「いつか王子様が(Someday my prince will come)」でも、使われています。最初の4小節のコード進行は、以下です。

|| F | A7 | B♭| D7||

最初の2小節のF→A7が、FメジャーのI→Ⅲ7にあたります。

Ⅰ→Ⅲ7は、洋楽・邦楽を問わず、多くの曲で使われているコード進行と言えます。

■ 比較的新しい曲の例

比較的新しい曲だと、いきものがかりの「ありがとう」が、この進行を使っています。

いきものがかりの曲はコード進行が複雑ですが、「ありがとう」のAメロ最初の4小節をシンプルにすると、以下と解釈できます。

|| C | E7 | Am7 | Dm7 G7 ||

この曲も、I→Ⅲ7が、使われています。Ⅰ→Ⅲ7の後は、Ⅵ7→Ⅱm7→Ⅴ7と、ろく→ツーファイとオーソドックスな進行となっています。

もの悲しさを表現するⅠ→Ⅲ7は、国民的名曲でも使われているコード進行です。

■ Ⅰ→Ⅲ7が悲しく聞こえる理由

このように、多くの曲で使われているⅠ→Ⅲ7のコード進行が悲しく聴こえる理由は、何でしょうか。

メジャー/長調の曲で、メジャーコードを使っているのに。

物悲しく聴こえる理由は諸説ありますが、私の考えを書いておきます。わかりやすく具体例のC→E7で、説明します。

E7 において、Cのコードトーンから外れる音は、G♯です。

Cメジャーの曲なので、Cを根音に追加してE7の和音を構成すると、Caug △7 add9となる。つまり、G♯をCに組み込むと、オーギュメント(aug)になります。

オーギュメントは、実に不安定な和音です。第五音が半音上がっていて、綺麗に響く和音とは言えないのではないでしょうか。

同時に、E7は、セブンスコードとはいえ根音がEであれば、それなりに安定した和音といえます。

ですので、以下のように考えるのは、いかがでしょうか。

  • E7(Ⅲ7)は、Cメジャーの曲において実に相性の悪いG♯という音を含みます。
  • 一方、E7は比較的安定した音の組み合わせです。
  • そのE7をCのコードの次に響くと、相性が悪いけど安定する、独特の響きを醸し出すのでしょう。

この独特の響きが、もの悲しさを演出すると、私は考えています。

■ C→Emとの比較

ここで、C→E7との比較要素として、C→Em7というコード進行考えてみましょう。

Em7は、すべての構成音がCのメジャースケール(音階)で出来ています。ですので、C→Em7は、Cのメジャースケールに支配されている音で構成されており、理論的には自然なコード進行といえます。

Em7に対してE7は、説明したようにG♯が第3音で入ります。この1音がEm7と異なります。

G♯がCにとってはオーギュメントを構成する異端な音になりますが、E7というそこそこ安定したコードにおける出音なので、極度に不安定にはならないことを説明しました。

これら2つのコード進行を聞き比べてみましょう。

進行例: |C | E7 | Dm7 G7 |  C |

進行例: |C | Em7 | Dm7 G7 | C |

比較して、どうでしょうか。E7の進行には、独特の違和感があります。この違和感が、もの悲しさを醸し出すのと、私は解釈しています。

■ 不安定→安定という視点

コード進行に限らず、音楽は不安定→安定の繰り返しといえます。

不安定から安定を繰り返すことで、曲にメリハリがつき、曲を聞いて楽しくなります。曲の不安定→安定を表現する一つの手段が、コード進行ともいえます。

この視点からすると、先に例示した以下の進行は理に適った進行といえます。

|C | Em7 | Am Dm7 | G7 C |

Cメジャーの曲において、Cメジャーの音から外れない構成音からなるコードで構成されています。そして、不安定→安定に向かっています。楽曲として、まとまっていると言えます。

それに対して、以下のコード進行は、E7、そのなかのG#という異端の音があるので、不安定さが増します。

|C | E7 | Am Dm7 | G7 C |

ただ、この不安定さは多くの人にとって、もの悲しさに聞こえます。

ですので、C→E7という進行は、Cメジャーの曲でメジャーコードだけ使って、もの悲しさを表現できる、と言えます。

■ まとめ

Cメジャーの曲で、メジャーコードのCとE7を使って、もの悲しさを表現できるコード進行を紹介しました。

洋楽、邦楽/J-Popを問わず、広く使われているコード進行なので、安心して使えます。

あなたの曲作りにも活かしてみると、作曲の幅が広がると思います。

Ⅰ→Ⅲ7で、もの悲しさを醸し出した曲ができるといいですね。

最後まで読んでくれて、ありがとうございました!

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